Dr.TERUのWhispering Blog

日本の田舎で医学生を教えながら、臨床もやっています。日々感じたことや気になること、役に立つことなどをつぶやいています。

少子化対策…遅すぎます。

news.yahoo.co.jpもう10年以上も前から日本の人口が減ることが言われていました。お隣の中国やインドを見ているとわかるように国力はやはり人口数(特に若者の)と大きく関連します。もちろん、日常生活上はどこに行っても混んでいて、少し減っても良いかなと思うこともありますが、特に資源のない日本は人が資源であり、若い世代がたくさんいないと国は回りません。

 

小児科医としては安心して子ども産み、育てられる日本社会にしてほしいとずっと願ってきました。では、どうすれば女性が子どもを産んでくれるのでしょうか?こればかりは男性である僕には不可能なことです。

 

1.結婚年齢を早める、もしくは結婚しなくても子どもを産める社会に。

2.そのための経済的支援

 

まあ、2に尽きるでしょうね。女性が働いて収入があり、雇用も持続される保証があれば早く結婚して子どもを産みたいという方は潜在的におられると思います。保育園に入れなくてもベビーシッターを雇用する余裕があれば良いわけです。雇用も生まれます。そして、少なくとも義務教育である小中学校は全くお金がかからなくするべきです。制服代、給食代、その他の物品の補助…。子どもが増えれば20年後に税収が増えます。今からやっても効果が出るのは20年後…。遅すぎです。それでも、やらないと始まらないのでどんどんやっていただきたいと思います。いろいろありますが、昔の日本のように超男性が強くて、女性がこき使われる社会か、女性にとって超幸せな社会にしなければいけないのです。前者はあり得ませんよね。

動悸…の原因は?

動悸で受診する患者さんは多いです。昨日も40歳女性が来られました。

 

僕の中では動悸の患者さんが来た場合には次の2つにまず分類します。

 

1.ほんものの不整脈

2.もうドキドキ!(心臓などは異常なく、動悸感がメインです)

 

患者さんには以下のことを聞いています。

 

・今、ドキドキしていますか?(僕にときめいているかをきいているわけではない)

⇒もし、していたら、脈をみます。不規則だったり、異常に速かったりすれば1でほぼ確定です。規則的だったり、速さも普通だったりすれば2でほぼ確定です。

 

⇒もし、していなかったら、難しいですね。その場で心電図をとっても、心臓のエコーとしても、胸のレントゲン写真を撮っても、まず、異常はありません。

 

そこで普通の臨床医であれば24時間心電図検査を予約する感じですね。

僕の場合はもうワンクッション置くことが多いです。無駄に検査しないために…。

 

患者さんには

「次に動悸がしたら、手首で脈を測ってみてください」(測り方を教える)

「1分間に何回くらいか?15秒測って×4してくださいね!」(大体で良いと伝える)

「規則正しいか?不規則か?」(口で”トントン”などと規則不規則の例を伝える)

 

で1週間後に来ていただきます。それで不整脈っぽければ24時間心電図に。もうドキドキ!の方が可能性が高い場合はゆっくりお話をして、その方の生活変化、性格などを鑑みて、場合によっては自律神経系、もしくは心身症などの治療の方針にします。

 

…でも、ゆっくり話を聞いてあげるだけで2の場合は良くなったり、納得されて、無治療で様子を見ることが多いです。やっぱり、話を聞くって大事ですね。

こどものかぜには何が効くのか?受診は?

コロナウイルスが拡がり、医療機関への受診を控えている人も多いだろうと思います。もともと小児科医だった私の正直な感想といえば小児科を受診する7~8割のお子さんは受診不要ですwww。つまり、薬が効かない、言い換えれば薬がなくても治る病気といえます。小児科を受診する大部分のお子さんは「かぜ」つまり、風邪症候群ですね。原因の90%以上がウイルス感染で、ウイルスに対する防御反応=症状(咳、痰、鼻水、熱など)ということになります。新型コロナウイルスもそうですが、特殊なウイルスを除いてウイルスに効果的な薬はありません。体が頑張って自力でウイルスが排除されるのを待つしかないのです。新型コロナウイルスも同様で罹ってしまうとあとは待つのみ…その間に熱が出れば解熱薬、酸素が足りなくなれば酸素を投与して待つしかないわけです。なので、体力のない高齢者を中心に命が奪われることになります。もちろん、基礎疾患と呼ばれる、もともと糖尿病や高血圧や腎臓病などがあると重症化しやすいというのはあります。いずれにしても待つしかないので膨大な患者さんが発生すると医療機関が対処できなくなり、その他の病気も含めて助ける(ひたすら待つ)ことができなるなるわけです。だから、なるべく一度に感染する人の数を少なくしたい!(いずれは大部分の人が感染するにしても)というのが今の政策の肝なわけですね。

…と話がずれましたが、新型コロナウイルスももともとは風邪のウイルスなわけです。ただ、強い!ところがこわいわけですね。そこで通常の風邪で小児科を受診するとどんな薬が処方されるでしょう?もしくはどんな薬を処方してほしいですか?

 

抗生物質

・鎮咳薬(咳止め)

・抗ヒスタミン薬(鼻止め)

・去痰薬(痰切り)

・解熱薬(熱さまし)

・抗炎症薬

 

などでしょうか?では、この中で科学的に風邪に効く!と証明されているのはどれでしょう?

 

Treatment of the Common Cold - American Family Physician

 

この論文を紐解くと書いてあります。英語が得意な方はどうぞ。

 

実は…

解熱薬と去痰薬のみです。解熱薬は熱を一時だけ下げる効果があります。これは風邪を治す効果ではなく、熱による不快感をとる効果として証明されています。そして、去痰薬はちょっとだけ咳を少なくする効果があります。

 

じゃあ、他の薬は?

 

ま、個人差は否定しませんが、少なくとも何千人、何万人の飲んだ人と飲まない人を比べて差がないという結果になっています。

 

じゃあ、子どもが風邪をひいて熱があったら、どうする?

 

元気であれば家で、家にある小児用の解熱薬を使って1~3日間は様子を見ましょう。受診しても早く治るわけではありません。受診しなかったら、長引くわけでもありません。この論文の中に書かれていて、効果的で簡単にできるのははちみつ(1歳以上)で咳が減る、メントールで咳や鼻詰まりの不快感が減る…だけです。

 

なので、お子さんが風邪をひいて、元気であれば…

 

「はちみつなめさせて、ヴィックス〇ポラップを塗って待つ」

 

だけです。もちろん、元気がなくなったら、すぐに受診してくださいね!

 

小児科はつぶれそうだな…。