Dr.TERUのWhispering Blog

日本の田舎で医学生を教えながら、臨床もやっています。日々感じたことや気になること、役に立つことなどをつぶやいています。

こどものかぜには何が効くのか?受診は?

コロナウイルスが拡がり、医療機関への受診を控えている人も多いだろうと思います。もともと小児科医だった私の正直な感想といえば小児科を受診する7~8割のお子さんは受診不要ですwww。つまり、薬が効かない、言い換えれば薬がなくても治る病気といえます。小児科を受診する大部分のお子さんは「かぜ」つまり、風邪症候群ですね。原因の90%以上がウイルス感染で、ウイルスに対する防御反応=症状(咳、痰、鼻水、熱など)ということになります。新型コロナウイルスもそうですが、特殊なウイルスを除いてウイルスに効果的な薬はありません。体が頑張って自力でウイルスが排除されるのを待つしかないのです。新型コロナウイルスも同様で罹ってしまうとあとは待つのみ…その間に熱が出れば解熱薬、酸素が足りなくなれば酸素を投与して待つしかないわけです。なので、体力のない高齢者を中心に命が奪われることになります。もちろん、基礎疾患と呼ばれる、もともと糖尿病や高血圧や腎臓病などがあると重症化しやすいというのはあります。いずれにしても待つしかないので膨大な患者さんが発生すると医療機関が対処できなくなり、その他の病気も含めて助ける(ひたすら待つ)ことができなるなるわけです。だから、なるべく一度に感染する人の数を少なくしたい!(いずれは大部分の人が感染するにしても)というのが今の政策の肝なわけですね。

…と話がずれましたが、新型コロナウイルスももともとは風邪のウイルスなわけです。ただ、強い!ところがこわいわけですね。そこで通常の風邪で小児科を受診するとどんな薬が処方されるでしょう?もしくはどんな薬を処方してほしいですか?

 

抗生物質

・鎮咳薬(咳止め)

・抗ヒスタミン薬(鼻止め)

・去痰薬(痰切り)

・解熱薬(熱さまし)

・抗炎症薬

 

などでしょうか?では、この中で科学的に風邪に効く!と証明されているのはどれでしょう?

 

Treatment of the Common Cold - American Family Physician

 

この論文を紐解くと書いてあります。英語が得意な方はどうぞ。

 

実は…

解熱薬と去痰薬のみです。解熱薬は熱を一時だけ下げる効果があります。これは風邪を治す効果ではなく、熱による不快感をとる効果として証明されています。そして、去痰薬はちょっとだけ咳を少なくする効果があります。

 

じゃあ、他の薬は?

 

ま、個人差は否定しませんが、少なくとも何千人、何万人の飲んだ人と飲まない人を比べて差がないという結果になっています。

 

じゃあ、子どもが風邪をひいて熱があったら、どうする?

 

元気であれば家で、家にある小児用の解熱薬を使って1~3日間は様子を見ましょう。受診しても早く治るわけではありません。受診しなかったら、長引くわけでもありません。この論文の中に書かれていて、効果的で簡単にできるのははちみつ(1歳以上)で咳が減る、メントールで咳や鼻詰まりの不快感が減る…だけです。

 

なので、お子さんが風邪をひいて、元気であれば…

 

「はちみつなめさせて、ヴィックス〇ポラップを塗って待つ」

 

だけです。もちろん、元気がなくなったら、すぐに受診してくださいね!

 

小児科はつぶれそうだな…。